ニーズとは
人間生活上必要なある充足感が奪われている状態
フィリップ・コトラー
人々が生活したり、仕事をしたりする上で感じる「現状」の様々な不満や欠乏が、「理想的な状態」と比較したときのギャップのこと。
ニーズについては、マーケティングをする上で必ず理解しておく必要がある用語です。
なぜなら、マーケティングは、顧客が何を必要としているか?何を欲しがっているか?という問いから始めなければならないからです。
マーケティングの父、フィリップ・コトラーさんは、ニーズを階層化して提示しています。
ちょっとわかりづらいところもあるので、僕なりに薬局にいらっしゃる患者さんに当てはめてみようと思います。
薬局を利用する患者さんに当てはめてみると・・・
明言化されたニーズ
病院を受診して処方箋をもらったぞ。
薬をもらわなきゃいけいないな。
明言化されたニーズは、患者さんの最低限のニーズです。
薬剤師としては、必ず満たさないといけない基本的なニーズですが、このニーズを満たすだけではちょっと物足りないですね。
真のニーズ
早く風邪を治す必要があるぞ。
真のニーズは、患者さんの本当の目的です。
つまり、薬をもらうのは手段で、その手段である薬によって風邪を早く治したいというのが、真の目的だということですね。
明言されないニーズ
感じのいい薬剤師さんとか事務員さんに対応してもらいたいな。
明言されないニーズは、真の目的以外のニーズです。
薬をもらって風邪を治すのに、薬局でどんな対応をされようと本当は関係ないはずです。真のニーズは風邪が治ることなんですからね。
ですが、患者さんには、口には出さないけど前提となっているニーズが存在しています。そして、ここから先のニーズが満たされれば満たされるほど、患者さんの満足度はどんどん上がっていきます。
逆にここからのニーズが満たされなければ、一見さんで終わってしまうかもしれません。
喜びのニーズ
薬局に行った時に自分にとって役に立つ情報などを教えてくれるといいな。
薬以外で風邪を治すための方法を教えてくれたり、予防できるグッズをくれたらもっと嬉しいな。
薬局に行った時、絶対に欲しいと望んでいる訳ではないけど、何か自分にとって得になるコトやモノがあれば嬉しいなというのが喜びのニーズです。
明言されないニーズまで満たされれば、その患者さんは不満に思うことは少ないでしょう。ですが、印象にもあまり残らないでしょう。
ところが、喜びのニーズが満たされると患者さんはあなたのことを印象深く覚えてくれる可能性は高くなります。かかりつけ薬剤師なら、少なくともここまでのニーズは満たす必要があるのではないでしょうか。
隠れたニーズ
病院に行って、薬局で薬をもらって帰った時、その行動が正しかったって家族や知り合いに言ってもらいたいな。
いつも利用している病院や薬局の評判がいいと嬉しいな。
隠れたニーズは、薬局に当てはめるのが少し難しいかもしれません。
患者さんは、もともと自分がした行動を家族や知り合いなどに褒めてもらいたい、またはけなされたくないと少なからず思っています。
家族から風邪くらいで病院にかからなくてもよかったんじゃないか?とか、なぜ、あんな病院や薬局に行ったの?とか言われると、全てが否定された気持ちになり、今までのニーズが満たされていたとしても台無しです。
そして、地域に密着し、信頼される薬局・薬剤師になるためには、この隠れたニーズを満たすことも大切なことなのかもしれません。
患者さんは、自分の行動は正しかったんだという裏付けが欲しいわけですから、薬局の評判を上げるために日々努力したり、患者さんの真のニーズ(風邪を早く治したい)が満たされるように継続的に服薬フォローをするなど、あなたの薬局をいつも利用している事が間違いではないんだと思ってもらう事で、このニーズがある程度満たされるのではないでしょうか?
ニーズとウォンツ
ニーズとよく対比されるマーケティング用語にウォンツがあります。
ニーズを顧客の目的とした時、ウォンツは、その顧客のニーズを満たすための手段として考えると分かりやすいかもしれません。
僕がマーケティングについて学び始めた時に読んだ「ドリルを売るには穴を売れ」という書籍があるのですが、まさにこれがニーズとウォンツをうまく表現されています。
つまり、穴というニーズ(目的)を満たすためにドリルをいうウォンツ(手段)を手に入れたがっているというロジックです。
正確にはちょっと違うのですが、理解しやすいように単純化しています。
薬剤師としては、ニーズを満たしながら、患者さんのウォンツにもきちんと応えられるように考える必要があります。
なぜなら、マーケティングは顧客のニーズではなくウォンツにアプローチする方がうまくいきますからね。
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