患者さんのウォンツについて考えてみる

ウォンツとは

ウォンツは、マーケティングでよく使われる言葉ですが、ニーズほど理解されていないかもしれません。ですが、マーケティングで成果を出すには、ウォンツについて知らないわけにはいきません。

なぜなら、ニーズをウォンツ化し、ウォンツ化した欲求に対する需要（デマンド）を生み出す事が、マーケターの大きな仕事の一つだからです。

薬剤師は、マーケターではありませんが、このニーズをウォンツ化する、逆にウォンツ化しているもののニーズを探るという思考により、患者さんへのアプローチの仕方も変わってくるのではないでしょうか。

ウォンツの種類

ニーズ同様、ウォンツにも種類があります。

薬局を利用する患者さんに当てはめてみると・・・

基本ウォンツ

「基本ウォンツ」とは、患者さんが自覚している具体的な解決のための方法を求める欲求のことです。

ただ、具体的といっても特定の方法などを決めている状態ではありません。

実のところ、この薬をもらいたい欲求を満たせるのであれば、薬局でなくても構わないのです。ですが、処方箋に基づく保険調剤ができるのは現在の日本では、保険薬局しかありませんから、それ以外の選択肢は必然的になくなります。

ですから、処方せんをもらった患者さんの基本ウォンツは、「薬局で薬をもらいたい」ということになりますね。

ただ、薬局であれば、この「薬をもらいたい」という基本ウォンツを満たすことは、難しいことではありません。

そして基本ウォンツが満たされると、その患者さんの基本的なニーズは満たされることになります。

条件ウォンツ

「条件ウォンツ」とは、患者さんが解決するための基本ウォンツに対する条件付けのことです。

薬局であればどこでもいいというわけではなく、どうせならこんな薬局で薬をもらいたいなという追加の欲求です。

待たない薬局がいいという患者さんもいれば、清潔な薬局がいい患者さんもいるでしょう。

少しでも安いほうがいいと考えているかもしれませんし、少しくらいの金額の差は気にしないと考えているかもしれません。

薬剤師さんなら誰でもいいと思っていれば、いつも特定の薬剤師さんから薬を受け取りたいと考えているかもしれません。

このように、薬をもらうという基本ウォンツを満たす時に、様々な条件が付いているということです。

期待ウォンツ

「期待ウォンツ」は、その名の通り、患者さんがもともと期待していて、当然満たされるべきと考えていることです。

この期待ウォンツは、その患者さんの過去の経験や体験をもとに形成されます。

一度でも処方せんを出してもらって、薬局で薬を受け取った経験があれば、次も薬局に処方せんを持っていけば少なくともそうなるだろうと考えている状態です。

それだけに、この期待ウォンツが裏切られるとクレームにつながる可能性が高くなるのも予想できますね。